アルルの寝室
《アルルの寝室》(原題: La Chambre à Arles / The Bedroom)は、フィンセント・ファン・ゴッホが1888年10月、南仏アルルの「黄色い家」で制作した油彩・キャンバス作品(約72×90cm)である。本作には3点のヴァージョンが存在し、第1作はファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)、第2作はシカゴ美術館、第3作(妹と母のために小型化して描いた縮小版)はパリのオルセー美術館に所蔵されている。
ゴッホは弟テオへの手紙の中で、この絵の主題は「絶対的な休息」を表すことであり、平らで力強い色面によって「眠りと安息」を見る者に喚起させたいと述べている。遠近法はやや歪み、家具や壁面は太い輪郭線と補色対比(青と黄、赤と緑)で構成され、陰影をほとんど排した平面的な色面構成は、彼が深く傾倒した日本の浮世絵の影響を強く示している。室内に並ぶ椅子・ベッド・自画像などのモティーフには、ゴーギャンとの共同生活を待ち望む画家自身の精神的拠り所が投影されている。
後期印象派を代表する室内画として、本作は印象派の光学的写実から脱し、色彩と形態を画家の主観的表現の手段へと転換させた点で美術史上きわめて重要であり、20世紀の表現主義やフォーヴィスムへと至る道を切り開いた作品と位置付けられている。
画像出典: Wikimedia Commons. "File:La Chambre à Arles, by Vincent van Gogh, from C2RMF.jpg". License: Public domain. C2RMF: Galerie de tableaux en très haute définition: image page (https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3ALa%20Chambre%20%C3%A0%20Arles%2C%20by%20Vincent%20van%20Gogh%2C%20from%20C2RMF.jpg)
出典: https://www.vangoghmuseum.nl/en/collection/s0047V1962