インフィニティ・ミラールーム
草間彌生《インフィニティ・ミラールーム——ファルスの原野(陽物の原野)》(Infinity Mirror Room—Phalli's Field)は1965年に制作された、草間による最初期のインフィニティ・ミラールーム作品である。鏡張りの部屋の床一面に、白地に赤い水玉模様を施した布製の柔らかな突起物(ソフト・スカルプチュア)を敷き詰め、鏡面の反射によって無限に増殖する空間を生み出すインスタレーション。初出は1965年、ニューヨークのカスタレーン画廊(Castellane Gallery)における個展「Floor Show」。
本作は、鏡を用いて作品の物理的境界を消去し、観客自身を増殖イメージの中に取り込むという草間芸術の核心的手法を最初に確立した記念碑的作品である。彼女が抱える幻覚体験に由来する「自己消滅(self-obliteration)」と「無限の増殖(accumulation)」というモチーフを、絵画・彫刻の枠を超えた没入型環境として提示した点で、後のインスタレーション・アートおよび体験型芸術の先駆と位置づけられる。
美術史的には、ミニマリズム、ポップ・アート、環境芸術が交錯する1960年代ニューヨーク前衛の文脈に置かれ、ルーカス・サマラスらによる鏡を用いた環境作品にも影響を与えたとされる。現在まで継続するシリーズの原点として、草間の国際的評価を決定づけた作品である。
画像出典: Wikimedia Commons. "File:Yayoi Kusama Obliteration Room.jpg". License: CC BY-SA 4.0. (https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AYayoi%20Kusama%20Obliteration%20Room.jpg)
出典: https://en.wikipedia.org/wiki/Infinity_Mirror_Room%E2%80%94Phalli%27s_Field