図鑑一覧へ > ネオダダ

《旗》(Flag) は、アメリカの美術家ジャスパー・ジョーンズが1954年から1955年にかけて制作した代表作である。素材は布、エンカウスティック(蜜蝋画)、油彩、コラージュを合板に貼り付けたもので、星条雲(48星時代の星条旗)をそのままの構図・寸法比で画面に据えた点が革新的である。現在はニューヨーク近代美術館(MoMA)の所蔵となっている。

本作の重要性は、絵画の主題と画面そのものを完全に一致させた点にある。蜜蝋に新聞紙の切れ端などを混ぜ込み、平坦な国旗の表面に厚みと触覚的な質感を与えることで、「旗を描いた絵」なのか「旗そのもの」なのかという見る者の認識を揺さぶる。日常的な記号(レディメイド的なイメージ)を絵画に持ち込むこの戦略は、抽象表現主義の内面性・主観性への明快な応答であった。

美術史的には、デュシャンの遺産を受け継ぎつつ抽象表現主義から離脱し、ロバート・ラウシェンバーグらと共にネオダダを牽引、後のポップ・アートやミニマリズム、コンセプチュアル・アートへの橋渡しとなった作品として位置付けられる。

画像出典: Wikimedia Commons. "File:Apollo 15 flag, rover, LM, Irwin.jpg". License: Public domain. Apollo Lunar Surface Journal, NASA Image and Video Library (https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AApollo%2015%20flag%2C%20rover%2C%20LM%2C%20Irwin.jpg)

出典: https://www.moma.org/collection/works/78805