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マルセル・デュシャン作《泉(Fountain)》は1917年に発表されたレディメイド作品。市販の男性用小便器に「R. Mutt 1917」と署名しただけのもので、オリジナルは早くに失われ、現存するのは1950年代以降に作者公認で制作された複製(レプリカ)である。複製はテート(Tate, London)、ポンピドゥー・センター(Centre Pompidou, Paris)、サンフランシスコ近代美術館(SFMOMA)、フィラデルフィア美術館、インディアナ大学エスキナージ美術館などに収蔵されている。

本作はデュシャンが偽名「R. Mutt」で1917年のニューヨーク独立美術家協会展に出品したが、無審査を謳いながらも展示を拒否された経緯を持つ。既製品をそのまま「作品」として提示する「レディメイド」の手法を極限まで推し進め、芸術における手仕事や美的価値ではなく、作家の選択と文脈こそが作品を成立させると示した点で決定的に重要である。

美術史的には、ダダの反芸術的精神を象徴する作品であると同時に、後のコンセプチュアル・アート、ミニマリズム、アプロプリエーション・アートなど20世紀以降の現代美術の根幹をなす転換点として位置づけられる。2004年には英国の美術関係者500人による投票で「20世紀で最も影響力のある美術作品」に選出された。

画像出典: Wikimedia Commons. "File:Marcel Duchamp, 1917, Fountain, photograph by Alfred Stieglitz.jpg". License: Public domain. NPR arthistory.about.com (https://commons.wikimedia.org/wiki/File%3AMarcel%20Duchamp%2C%201917%2C%20Fountain%2C%20photograph%20by%20Alfred%20Stieglitz.jpg)

出典: https://www.tate.org.uk/art/artworks/duchamp-fountain-t07573